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悦子が奴隷となる気持ちを固めるまで、わたしは辛抱強く待った。
無理矢理奴隷へ堕とすのは、趣味ではない。
脅迫めいた事を口にして、言うことをきかせたとしても、
それはうわべだけの服従にすぎない。
悦子が考えに考え抜いた後にこそ、
自主的な奴隷への道という
いっそうマゾヒズムをくすぐる状況が生まれるのだ。

自分で自分を奴隷へ追い込む。
自分で、自分の心の奥深くを発見させる。
それが理想的な調教のはじめ方ではないか。

20歳になる前に、密かにマゾ的行為を強く夢想する女性は、
その後すんなりと、ふとしたきっかけで、この世界に入る事が多い。
ゆっくりと時間をかけてフェードインできる。
誰から強要されるもなく、知らぬ間に自分で育む時間がある。

だが、悦子は、突然「それ」に気づいてしまった。
しかも成人した後に。
一気に燃えあがる気持ちを押さえることは、わたしと会話することから
距離を置くしかない。

話し始めた当初から
悦子は何度かそれを試みようとした。
話すのをやめたい、と。
こんなことを話していては頭がおかしくなってしまう。

だが自ら前言撤回してしまうのだ。

再び私との会話が続けられる。

半年ほどの時間が経過したのだろうか。
悦子は言った。
「抵抗することをあきらめます。無意味に思えてきました」

わたしへの抵抗ではなく、
自分の心への抵抗なのかもしれない。

スポーツ選手がよく口にする科白と重なる。
敵は自分。

悦子は自分の心の敵に勝ったのだろうか。
それとも負けたのであろうか。

そんな、たいそうな事を考えてしまう科白だった。

どうやら、悦子本人は
自分に負けたと感じているようだった。

だが本当のところはどうなのだろう。



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2015/01/08(Thu) 15:03 |  |  | 【編集
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