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結愛の心を覗く。



すると、そこには怯えて萎縮しきった塊(カタマリ)がある。



長年の垢が凝固したような白い塊(カタマリ)だ。

時間をかけて形成されたそれは、小さい。

私が触ると簡単に粉々になりそうなくらい。



ちっぽけな塊。

鍛え上げられたものではない。

どちらかというと、守って、保護して、傷つかないようにしてきたように見える、心の中の塊。



結愛のように、ちっぽけな塊が心にある場合、

困難な状況や、できない事に対して、簡単に「自分にはできない」と決めつけてしまう傾向にある。

そして、塊(カタマリ)守ろうとする気持ちが強い。

守りにエネルギーを使うため、生きていくのが苦しい、いう感情に支配されている。



逆に

この塊を自ら鍛え上げてきた人間は強く、多少の事ではめげない。

失敗や自信喪失があったとしても、這い上がってくるだけの力がある。

守らなくてよいために、生きづらいとは感じていない。

自分の感情に支配されていない。




目の前にいる、結愛は、私の奴隷になりたいと言った。

自分には支配され、厳しい調教と躾けが必要なのだと言う。

切望している、とも。

長い時間をかけて考えた事だという。



私は言った。

調教するには、その塊(カタマリ)自体を晒し出す必要がある、と。

結愛は、それでもいい、と言った。

そして、覚悟はできています、と続けた。



そこで、私は子細に塊(カタマリ)を観た。

結愛の塊(カタマリ)は、とても小さかったので、

それを守るために、

やはり強固な殻(カラ)があった。



クルミのような、固い固い殻だ。鎧と言ってもいい。

他者に簡単には壊されないように、

または他者に触れられぬように、

柔らかい塊(カタマリ)を保護するために、殻(カラ)を作ってきたのだ。長い時間をかけて。

傷つきそうになると、殻(カラ)で守る。



生きていくには、塊(カタマリ)自体を鍛え上げなくてはならないのに、
殻(カラ)を作ってそれを守って生きてきてきた女。

それが結愛だった。




私は、再び言う。

殻の中身をさらけ出して調教しないと、私は愉しめない、

殻の中身を所有したいのだ、と。

女はそれでも良い、そうしたいと、

好きにしていただきたい、と必死で答えた。



調教で殻(カラ)を壊すのは簡単だ。

本当にそれでも良いのか、と、問う。

結愛は頷く。





そこで私は、いつものように、殻の一部を壊し、

そして、中の柔らかい塊を晒し、調教を始めた。



すこし調教を進めると、

女は、毎回のように殻を壊される命令に悲鳴を上げる。

初めの熱意はどこかに隠れ、女はこそこそと必死で、言い訳を口にしながら、殻を修復させようとする。

自分の感情にしがみつく。



女は言う、私にも色々な事情があるので、殻をたくさん壊すことは難しい、と。

今までの自分が自分でなくなると。



私は呆れる。

言い訳を聞きながら、私は何とも言えぬ感情になる。



確かにそうだろう。

長年、殻(カラ)で守って生きてきたのだから。それは苦痛かもしれぬ。

必死で守るから、小さくて脆い塊(カタマリ)。

いつになったら、殻(カラ)がいらない状態になるのだろうか。



だが、女は本能的に知っているのだ。

自分には殻(カラ)なしで生きていく力。強い塊(カタマリ)が必要なことを。

そして絶対服従という身分でこそ、自分に必要なものが得られることを。



そして私も知っていた。

殻(カラ)は、何も女自ら望んで作ったわけではなく、

そうせざるをえない、事情があった。



塊(カタマリ)を晒せない奴隷は、奴隷にしない。

私の愉しみは少なく、主従とはほど遠い。

だが、それでも、塊(カタマリ)を晒すと誓った女の、その言葉を信じたくなるときがある。